江戸時代の人々が見た1000年前の遺跡


福岡では今コスモスが見頃を迎えています。
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コスモスの名所はたくさんありますが、今回訪れたのは、
太宰府市にある「水城跡」(みずきあと)という遺跡の側に植えられたコスモス畑。
本当にキレイ!
すぐ側を国道や高速道路が走っているとは思えないようなのどかさと、花や木から発せられるいいにおいにすっかり癒されてきました。


太宰府を守れ!

この「水城跡」という遺跡、まったく知らなかったのですが、とても古い遺跡でした。
飛鳥時代に、唐と新羅と戦っていた百済を応援するために、日本は兵を送ったのですが、残念ながら負けてしまったんですね。
これが西暦663年の「白村江(はくそんこう)の戦い」と名付けられています。

その反省から、日本国内の守りを固めるために作られたのが、
大野城(おおのじょう)、基肄城(きいじょう)という山城、
そして土塁を1.2kmに渡って積み重ねて堰としたのが水城です。
その守りの奥に位置するのは「太宰府政庁」。


太宰府は天満宮だけじゃないのよ

なんで神社を守るためにお城や堰を作ったの?と思う人もいるかも〜?
ちょっとだけ太宰府のお話を。

西暦536年、朝鮮半島や大陸との外交の窓口として、博多湾に「那津官家」(なのつみやけ)という出先期間が置かれました。
その後先述した「白村江の戦い」で大敗した日本は、海から攻められることを懸念して「那津官家」を内陸部の太宰府に移します。
名前も「太宰府政庁」(だざいふせいちょう)とし、同時に城と水城を築いたわけです。

この時、まだ菅原道真は生まれていないし、もちろん天満宮もありません。
西暦901年に菅原道真が太宰府へ左遷され、903年に失意のまま亡くなります。
亡骸を運ぶ牛車が道中どうしても動かなくなり、やむなく埋葬されたその場所が現在の「太宰府天満宮」なんですね。
道真の賢さにあやかって受験の神様として有名になっちゃいました。

ちなみに、元寇(蒙古襲来)は1274年と1281年。鎌倉時代です。


江戸時代はわりと最近と言ってもいいのかも

さて、今日のテーマは道真ではなく、水城跡です。
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写真を見ても、さっぱりどんな遺跡なのかわからないですね…(苦笑)
この写真を撮った高台、ここも水城の堤防の上なんです。
そして目の前に見えるこんもりした森のようなもの、それがずっと向こうの山まで続く水城です。
今では道路に分断されてしまっていますが、google mapを見ると、ちゃんと残っているのがわかりますよね。
水城
赤い矢印のところが写真を撮った場所と方向です。

この土塁は両側に掘りを作る鉄壁の守りだったようで、発掘してみれば、ただ土を固めただけではなく、水を通す樋が出てきたり、門の基礎なども出てきたようです。
そのひとつがこんな石の基礎。
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穴の直径は10〜15センチぐらいかな?

そしてその側に立っていた説明文を読んでププっと吹き出しちゃいました。
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「鬼の硯石」って書いてあるし!
江戸時代の人はこれを柱の基礎だと思わずに、鬼の硯だと思ったの〜?
って笑いながら、ふと「待てよ、江戸時代?」と考えちゃいました。

江戸時代といっても、約300年近く続いているので、どの時代に「鬼の硯」と名付けられたのかはわかりませんが、ざっと見積もって、江戸時代の人にとって、この水城跡は「約1000年前の遺跡」なわけですよ。それすごくないですか?!
江戸時代なんて、ものすごく昔のことだと思っていたのに、
この遺跡の時系列で見れば、たったの「300年ほど前」の時代ですよ。

私たちにとって「1350年前の遺跡」は、江戸時代の人にとっても「1000年前の遺跡」です。
なんかね、もう時の流れがよくわからなくなっちゃいました。
も一度、江戸時代後期に書かれた絵をどうぞ。
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鬼伝説

全国各地に「鬼のほにゃらら」と名付けられた名所がたくさんありますし、
今は調査が進んで、それがいったいなんだったのか判明しているものも多いですが、
江戸時代には、わからないものはとりあえず鬼の仕業にしちゃえばいいんじゃね?みたいな風潮があったのかもしれませんね。

そもそも鬼というのはどんな存在だったんでしょうね。
昔話に登場するから当たり前に、鬼はツノが生えてて赤とか青とかで…と思っていますが、
実は宇宙人だった、なんて説もあったりします。

auの三太郎シリーズにも鬼が登場したし、どうやら隠れキャラとして一寸法師が登場してるなんてのも話題になっていますね。

なんだか話が逸れました。
知らなければコスモスが綺麗な、なんてことない土塁だけど、歴史を紐解くといろんなことが見えてきます。
あなたの近所の見慣れた風景にも面白い歴史が隠されているかも?


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