移住しました その5「移住を勧めてくれた人」


原発事故に対して危機感を持っていた人は、日本人の何パーセントいたんでしょうね?
新聞とテレビの情報を鵜呑みにして生きている母親とは随分ケンカしました。
完全に「放射脳」のレッテルを張られ、めんどくさがられていました。
それでも、やはり心のどこかで「危険なのかも…」という気持ちは拭えなかったんだと思います。
しつこく会話を続けるうちに少しずつ態度が軟化していきました。

小さなお子さんを持った方は、移住できなくてもせめて疎開を、という話なら皆さんもよく耳にしたと思います。
母子のみが移住して父親が単身で仕事を続ける話も多く聞きました。

「残念ながら」なのか「幸いに」なのかどうかわかりませんが、
クリキンディの息子はすでに成人していましたので、
母子に手を差し伸べる機関には縁がありません。

脱原発派の人たちの会話の中でも、大人だけの移住や疎開についての情報はほとんどありませんでした。

体調不良が続く中、ここを離れたいと思っても、
では一体どこへ行けばいいのか、誰が受入れてくれるのか、まったく見えません。

実は親が転勤族だったクリキンディ、生まれは九州です。
まだ付き合いのある親類を頼って九州へ行くという道もありました。
ですが、残念なことに原発のことを危機に感じている親類はほとんどおらず、
移住について誰かに相談できるような雰囲気でもありません。

そんな中、ひとりだけクリキンディに移住を具体的に勧めてくれた友人がいました。
彼女の実家が千葉にあり、近くに空き家があるから移住してはどうかと言ってくれたんです。
気持ちは痛いほど伝わりましたし、本当にありがたいお申し出でした。
ですが、今まで知り得た情報を総合すると
「千葉も安住の地とは言えません。できればご両親にも移住を勧めたいくらいです。」
とお返事せざるを得ませんでした。

彼女自身はアメリカ西海岸在住。
この震災から原発事故に至る報道については、
日本国内で流されるニュースと、海外向けに報道される内容が微妙に違うということをご存知でしょうか。
翻訳が得意な方が海外ニュースを翻訳している人気ブログもいくつかあります。
西海岸から太平洋越しに見える日本は、とても危険に見えていたと思います。

この後、西海岸の彼女を訪ねて一度渡米しているのですが、
その時のお話はまたの機会に。

(その6につづく)
☆AmazonのKindle版はこちら。Unlimited対象です。
ブログ版をかなり加筆、修正しています。


「移住しました その5「移住を勧めてくれた人」」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です