父の遺骨を海へ散骨しました体験談


083939
もうすぐお彼岸ですが、皆さんまめにお墓参りとかしてますか?
お仏壇には毎日お水をあげていますか?

クリキンディはもちろんそんなマメなことしていません。
え?自慢するな?
先祖に感謝しないでどうするんだ?罰が当たるぞ!って声が聞こえてきそうですが。

そもそも先祖に感謝するのに、仏壇もお墓も必要ないですよね。
いつでもどんな場所でも、感謝したいと思った時にすればいい。
だって、あの人も言ってるじゃないですか。

「私のお墓の前で 泣かないでください」って。
「そこに私はいません 眠ってなんかいません」って。

そもそも、自分の家だって買えないのに、
死んでいる人のために、土地を使うなんて、なんてもったいないことするんだろう、
昔からそう思ってました。

トイレの神様とか一時期、流行ってましたが、
「掃除すれば幸せになれる」とか
「毎日仏壇に手を合わせれば守ってもらえる」とか
そういう条件付けって、逆に言えば、
「掃除しない人は幸せになれない」
「仏壇に手を合わせるのを忘れた日は守ってもらえない」
みたいな「呪い」の一面も持っているんです。

何か条件をつけて、何か自分がしたくないことをすることと引き換えにして幸せをもらうのって、ちょっと悪魔的じゃないですか?

「お前を金持ちにしてやる代わりに魂を寄越せ」って、
物語では悪魔の定番のセリフですね。

あらやだ、なんだかすっかり話が逸れちゃいましたが、
死んだらお墓に入るんじゃなくて、自然に還るのがいいよね、
って言いたかったのでした。


散骨にもいろいろ種類がある

父が亡くなって、遺骨をどうしようか、なんとなく決められないまま3年近く経ってしまいました。
先祖代々のお墓は九州にあり、当時宮城県に住んでいて、移住する予定もなかったため、
どこか近くのお寺で樹木葬をと考えていました。
なんとなく決めかねているうちに、移住の話になり、
お墓に入れることも可能になったのですが、
何十年もお参りしていなかったし、今後お寺さんとの付き合いや、定期的な墓参りなど考えると、ちょっと二の足踏んでしまいます。

やっぱり「散骨」がいいなぁと思って調べてみると、
原則として今の法律上、遺骨を粉状にすれば、自由に撒いていいことになっているようです。
ただ、他人の土地に撒くのはもちろん嫌がられますよね。
自分の土地があるなら、そこに撒くのは問題ないんです。
海や川の場合は、毒を撒くわけではないのですが、下流にある人はなんとなく気分がよくない。

また、ゴミを捨てるのと違いますので、故人の縁のあるところに撒いてあげたいとか、
遺族としても、気持ちのけじめとして、気持ちよく散骨したい、
ということで、
船に乗って沖合で散骨する「海洋散骨」や、
木の根元に撒く「樹木葬」などが増えてきているようです。
空から散骨というのもありますが、こちらはまただいぶ金額がお高いので、まだまだ少ないと思います。


散骨と埋葬の違い

ここで間違えやすいのが、「散骨」と「埋葬」の違いです。
野山や木の根元に遺骨を撒くのは「散骨」ですが、
根元を掘って、そこに入れた遺骨の上に土をかぶせたら「埋葬」になります。
つまり、「埋葬許可」が必要になるんです。
ほんの数センチであったとしても。

だから「樹木葬」はほとんどの場合、散骨ではなく、埋葬の形を採るケースが多いんですね。
つまり、土を掘って粉砕した骨を埋めて、そこに桜の苗木などを植樹する。
その木はその故人の専用の墓標となるわけです。
地球に緑を増やすわけですから、墓石を建てるよりはずっといい埋葬方法のような気もしますが、
やっぱり「そこに眠っている」ように感じるし、
命日にはその木に向かって拝みたくなりますよね。

自分は無宗教だし、お寺や墓地はなんとなくめんどくさいけど、
なんとなく故人を偲ぶ習慣は持ち続けたい、という人にはピッタリだと思います。
木が枯れちゃったらどうするの?なんて心配する人のために、
花壇のような区画を作って埋葬する業者もありました。

また、許可された土地に区画の区別なく撒ける、という方式を採っている業者もありますが、
まだまだ一般的ではないようです。


海洋散骨にかかる費用

結局、父が釣りが好きだったこともあって、海洋散骨がいいだろう、ということになりました。
海洋散骨は、大きくふたつのパターンがあって、
船をチャーターして、自分で遺骨を撒く方法と、
業者にまかせて、他の遺骨とともにまとめて撒いてもらう
という方法があります。
どっちの料金が高いか安いか、それは一目瞭然ですよね。

古いお墓の管理が大変なので、「墓じまい」をして散骨したい、というような場合は、まとめて撒いてもらってもいいのでしょうけれど、
父の場合、いろいろあって葬儀というものをしていなかったこともあり、
せっかくなので、親しい親類に声をかけて、チャーター船で撒く事にしました。

金額はもちろん業者によっても違いますが、
さほど遠くない海で、10人程度乗れる船をチャーターして、粉骨してもらい、お別れの儀式的なものを取り仕切ってもらい、スナップ写真を撮ってもらい、骨壺の処分をしてもらう、
ぐらいをまとめて、15万円〜25万円ぐらいのところが多いようです。

決して安い金額ではありませんが、
お別れの儀式としては、納得できる金額でした。
だって、戒名とか付けると、お寺に何十万もお布施しなくちゃいけないんでしょう?


天気より波の高さ

海に詳しい方には常識なのかもしれませんが、
天気と波の高さは比例しません。
海洋散骨で一番大切なのは、波の高さです。
出航できない日もあるため、予備日を決めておく必要があります。
自然が相手だからねー、こればかりはなんとも。

幸いクリキンディ家の決めた日程は、雨模様ではあったものの、
わりと波の穏やかな日だったので、第一候補の日に出航できました。


いよいよ当日

たくさんの船が停泊しているオシャレなマリーナから、クルーザーに乗って出航です。
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操舵席に誰もいないのに船が動いてる!?
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どうやら、クルーザーは上下階に操舵席があるのが普通なんですって。
内装も豪華です。うちのリビングより余程広いし。
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しばらく進んでから、予定していた海域で一旦船を停め、
そこで「水葬の儀」が始まります。
鐘を鳴らしてから、海にお酒とお米を撒き、お祈り(お経とかないので短い黙祷)してから、
お花と一緒にお骨をみんなで撒きます。
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お骨が小分けされて袋に入っていますが、
これは水溶性で、袋ごと海に投げ入れます。
結構厚手の袋なんですが、あっという間に溶けて、粉になったお骨がふわーっと広がります。
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右側に白く見えるのがお骨。

鐘を鳴らして再度黙祷。(実は船酔いでグロッキーだったクリキンディ、目も開けてたし、しゃべっちゃいましたが笑)
お骨は海に入るとすぐに見えなくなるので、お花がいい目印になります。
お花の回りをぐるーっと大きく3回旋回して汽笛を鳴らして儀式終了。


海洋散骨で一番大事なこと

最後の旋回というのは、海での葬儀の定番のようですが、
もうこの時点で限界を超えていたクリキンディ、こみ上げるものを堪えるのに必死でした。
「3回も回らなくていいから早く丘に戻ってくれーー!」と心で叫びつつ涙目になってました。
故人を偲んで泣いていたのではないということが、顔色の悪さでバレていたと思います。

船は走っている間より、停泊している時の方がずっと揺れるんですね。
もともと船がもっとも苦手なクリキンディ、一番距離の短いコースを頼んでいましたが、それでもやっぱり辛かった!
酔い止めなどの薬はなるべく使いたくないので、フラワーエッセンスと梅干タブレットでなんとか乗り切りましたが、あと5分儀式が長かったらやばかったー!

こんな時の特効薬として「氷を口に含む」方法もあると教えてもらったのは、すでに船酔いが始まってからでした。今度船に乗る時には氷持参で行ってみようと思います。
いや、もうしばらく船には乗りたくないですが。

以上、海洋散骨体験談でした。
船酔いはちょっと大変でしたが、それでもお墓に埋葬するよりずっといいと思います。
今回お願いした業者さんは、「漁師だった祖父はお墓より海に還してあげた方が喜ぶだろう」ということで個人的に海に撒いたそうで、そこからそれを仕事として行うようになっていったそうです。
おそらくこれからもっと増えていくだろうと思います。

迷っている方の参考になれば幸いです。


「父の遺骨を海へ散骨しました体験談」への5件のフィードバック

  1. 散骨を体験したものです。
    立ち会いはしなかったのですが、15年たったいま、ふと撒いた場所に訪れたいと最近思うようになりました。

    1. いるかさん
      コメントありがとうございます。
      どういう場所に散骨されたのでしょう?
      散骨は、お墓に埋葬するのと違って、亡くなった方の魂が自由に飛んでいるイメージがありませんか?
      うちは海洋散骨なので、きっと父の魂はイルカのように自由に泳いでいるのかなぁなんて思ったりします。

    1. 匿名さん
      コメントありがとうございます。
      調べてみて、体験してみるといろいろ気づきがあるものだなぁと思います。

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