今年も、女王蜂候補者が新たな王国作りに励む時期がやってまいりました。
以前、こんな記事を書きました。
「アシナガバチを呼び寄せたもの」
簡単に要約しますと、
アシナガバチは自分の好きな場所に巣を作っているわけではなく、
人間の心の波動のようなものを感じ取って巣の場所を決めているのではないか…
というお話でした。
あれから数年、我が家にアシナガバチさんはやってきていませんでしたが、
今年は、縁側の西側の軒先に巣を作っていました。
折しも、
「夏が来る前に縁側にすだれをかけてくれ」と母から頼まれて、
脚立に乗っている時に発見したのですが、
まさに、前回の仮定を裏付けるような場所だったので、
「またか…」と思いながら「やっぱりね」という面白さも感じちゃいました。
今回すだれをかけようとしていた場所、
それは、まさに母親が地味〜にストレスを感じている場所だったんです。
2011年の大震災の時、
我が家は本当に奇跡的に大きな被害がなかったのですが、
西側のお隣との境にあるブロック塀には、
横に長い亀裂が入っていて、すぐに倒れることはないかもしれないけれど、
余震も多いし、なんとかした方がいいよなぁと思っていました。
ただ、大家さんとお隣さんとの交渉がなかなか進まなかったようで、
ようやく昨年撤去されたのです。
その後に、板塀か何か作るのかと思いきや、そのままで作業は完了してしまい、
今では、お隣さんとの間を隔てるものは何もありません。
それがイヤでたまらなかった母は、
とりあえずすだれをかけることで、目隠しをつけようとしていたんですね。
まさに、その場所にアシナガバチさん登場。
仕方なく女王のいない隙に巣を落としたものの、
今回はすぐに諦めなかった女王さん。
再び同じ場所に巣を作り始めました。
またお出かけの隙をついて巣を落とす、また作る
ということを3度ほど繰り返した後、
これはらちがあかないなぁと思って、ついに母親に話してみました。
「あのさ、前にアシナガバチの巣を3つ落とした年があったじゃない?
あの時、巣があった場所覚えてるかな〜?
人が常に訪れる場所で、母ちゃんがストレスに感じていた場所だったと思わない?
そして今回巣を作った場所は、お隣さん丸見えでストレス感じてた場所でしょ?
実は母ちゃんの心が、アシナガバチを呼び寄せていたんじゃないかなと思うんだけど…」
こんな話、娘にされたくないですよね。
ちょっと抵抗はありましたが、とりあえず話は受入れてもらえました。
私の仮説が正しければ、
その理由を母親が認識した今、
アシナガバチさんは、もう同じ場所に巣を作ろうと思わないはずなんですが…。
どうなったのか、近いうちにご報告しますね。
さて、もうひとつ、別の観点からこの女王さんの巣作りを眺めてみました。
女王は、「なーんかこの場所が良さげだからここに巣を作って卵生んじゃおう〜」と決めました。
しかし、自分がお腹が空いてご飯を食べに出ている間に、
建築途中の家と、大事な卵がなくなっています。
大災害です。
何にも悪いことしていないのに、一生懸命生きているだけなのに、
神様は、なぜ私をこんな辛い目に合わせるのよ!
一時落ち込んでから、女王は「あたし、負けないわ!」と再度巣作りをはじめます。
しかし、またもやある日家に帰ると、大事な卵が巣ごとなくなっています。
なんということでしょう。
新築の家を津波で流された後に、また新築の家を大雨で流されるような状況です。
それでも女王は負けません。
今度はなるべく、巣を離れる時間を少なくして卵を守ります。
その甲斐あって、卵はかわいい幼虫に育ちました。
もう大丈夫、少なくとも自分が生きている間には、大きな災害は来ないはず、
そう思って少し安心して餌を取りに出かけた後、
またもや女王は大事な家と子供たちがいなくなっているのを目の当たりにするのです。
これが人間だったらどうでしょう?
311の地震や津波で、家や家族を失った方々を見ていて、
同じ場所に住むのはイヤじゃないのだろうか?と思っていました。
また、原発事故以来、放射能の危険性をいくら叫んでも、
なかなか避難する人はいません。
みんなそれぞれの土地で、一生懸命生きていて、何も罰を受けるようなことはしていないのに、
畳み込むように、何度も続けて災害に遭われた方もいます。
それでも、その場所を離れないのは、自分の意思だけではない、
何か大きな力が働いているのかもしれないなと思うのです。
何度家を壊されてもその場所でがんばろうと思う人、
その場所を早く離れたいと感じる人、
それぞれに、大きな必然性があるのかもしれませんね。