ついに九州への移住という方向性が見えてきたクリキンディですが、
ちょっとだけ納得のいかないことがありました。
それは会社から「生徒には放射能が理由で異動するとあまり言わないで欲しい」と言われたことです。
嘘をつけとまでは言われませんが、なるべく波風を立てずに静かに去って欲しい、
そういう雰囲気でした。
公式に告知する時には「九州に転勤になりました。生まれた土地へ戻ることになります。」とだけ言いました。
ただ、以前からクリキンディが放射能について語っていたことを知っている人はもちろんたくさんいましたし、
聞かれれば正直に答えていました。
そんな中、ある同僚からこんなことを言われました。
「え?放射能?クリキンディちゃんはそんなに長生きしたいの?」
この同僚は「無関心派」です。原発はとっくに収束していると思っていたようですが、
ここにいれば長生きできないかもしれないと、この同僚は心のどこかで思っていたのかもしれません。
先の見えない未来に長生きすることが目的ではなく、
今苦しいと感じているからここを出る、というニュアンスは伝わりませんでした。
別な同僚にはこんなことも言われました。
「え?放射能の影響を受けるのは子供だけだと思ってたわ」
この同僚は少し前に体調を崩して手術しています。
結婚されていますがお子さんがなく、放射能の心配をしなくてはいけないのは、
小さなお子さんがいる人だけだと思っていたようです。
また、震災直後に放射能を理由に異動したMさんの同僚は、こんなことを言いました。
「Mさんもかわいそうにね、放射能を避けて行った先で、
今度は南海トラフの心配をしなくちゃいけないんだからね。」
この方はまだ小さなお子さんが3人いらっしゃいますが、あまり放射能のことを深刻に捉えていないようでした。
そして南海トラフ地震に遭うよりも、ここに残った方が勝ち組であるはずだ、と思っているように見えました。
また「九州なんて台風が多いところでしょう?
黄砂とかPM2.5とかあるのに、なぜそんな住みにくそうなところへ行くの?」
と引き止めてくれた友人もいました。
人間誰しも自分の選択が間違っているとは思いたくありません。
「自分の選択が間違っていた」と後悔し始めたら、人は自己否定を始め、鬱に突入していきます。
それぞれの人生の中で得た情報を元に、
「ここに残る」「この対策をする」「ここを出る」というようなそれぞれの選択をするわけで、
彼らは自分の選択を信じており、
クリキンディは自分の選択を信じている、ただそれだけです。
どれも間違っていないのだと思います。
大切なことは、「自分が選択した」という自覚と責任を持つ事だと思います。
どんなに準備をして覚悟をしていても、なにか起こる時は起こるんです。
そしてそれぞれのストーリーに沿って、亡くなる人もあれば、奇跡的に助かる人もいる。
地震が起こったから悪いのだ、津波が来たから不幸になったのだ、
政府や東電が放射能は健康に影響はないと言ったから病気になったのだ、
そんな風に、自分が今辛いのを誰かのせいや何かのせいにしてしまうのは簡単ですが、
その何かを恨むだけで、そこから何も進みません。
放射能のリスク、台風や水害のリスク、地震のリスク、大気汚染のリスク、火山噴火のリスク、
そういうものはどこに住もうと必ずあります。
例えばクリキンディの異動先が北海道であったら、
「そんな寒くて雪の多いところへ行くの?かわいそうに」
と言うでしょうし、
もし行き先がハワイだったとしても、
「あんな物価の高いところで暮らすの?足元は火山なのに?」
と言われたでしょう。
自分がそこに住むと決めたのなら、そこで何が起ころうと誰のせいでもありません。
いやいや、会社の転勤でここへ来たから自分の意思じゃない、と言う人もいるかもしれませんね。
では本当にそれ以外の選択肢はなかったのでしょうか。
転勤を断ることもできたかもしれません。会社を辞めると言う選択肢もあったかもしれません。
でもそれを「はい 引き受けます」という選択をしたのは自分なのです。
あ、ハイヤーセルフの選択かもしれませんが…(笑)
もし移住しようかどうしようかと迷っている方がいれば、
「家族のために移住するべきだろうか」と「べき論」で考えずに
「自分が移住したいのかどうか」を基準にするといいかもしれません。
ちなみに、ひとりででも移住するつもりだったクリキンディですが、
少し時期をずらして母親も移住することになりました。
母親もいろいろ考えた末の選択だったと思います。
息子は…未定です。彼なりに一生懸命考えているようなので見守りたいと思います。
ところで、移住先で引き継ぎの相談をしたところ、
どうやら仕事が始まるのが12月だということになりました。
あらら?こっちは9月に終了すると宣言しちゃってるので、2ヶ月間空いちゃうなぁ。
こんな時、あなたならどうしますか?
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ブログ版をかなり加筆、修正しています。
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