<少年とハチドリ>
<青年とハチドリ>
<彼とハチドリ>
<本当の彼とハチドリ>
のつづきです。
「にゃお〜〜〜〜〜〜〜ん」
わ!!
なんてでかい猫!!
真っ白な、毛足の長いペルシャ風の猫がいる。
部屋一面を埋め尽くしている。
クリキンディの長い心の旅で、
ようやく奥目王子の心の部屋に辿り着き、
アーリマンの闇を祓って、やっと本体と話ができる思ったのに…
なんじゃそりゃ〜〜〜
やっぱり、誰かに守ってもらわないと、不安でしょうがないんだね。
わかった。
ふわふわで気持ちいいから、このままこの化け猫ちゃんにいてもらおうね。
で、思い出したの?君がこの人生で本当にやりたかったこと。
「大きな橋をかけたかったなぁ…。アーチのキレイな白い橋。」
「それ、映画”素晴らしき哉、人生!”の人と一緒だね!
本当の橋をかけることはなかったけど、
人の心に橋をかける素敵な映画だったよ。」
「あとは、どんなことしたい?」
「そうだな…あんなことや、こんなことや…」
しばらく話していて、ふとクリキンディが気付いた……
「あれ?ね、君、大きくなってるよ?」
「え?ホントだ!」
「ほら、現実世界と同じ大きさになってるよ、やった〜!自分を取り戻したんだよ。」
クリキンディは、奥目王子と手を取り合って
ぐるぐる回り続けた。
すごくうれしくて、ずっと踊り明かしたい気分だった。
おめでとう!
もう大丈夫だね。
ぼくも、ハチドリのクリキンディじゃなくて、
本当の自分に戻るよ。
また明日。
今度は本当の自分たちの姿で話をしようね。
(完)