あなたが今誰かに腹を立てているのなら試してみてね


「他人は自分を映す鏡」と聞いたことがある方も多いと思います。
「人のふり見て我がふり直せ」とかね。

これ、頭ではわかっているし、実践しているつもりだったんですが、
どうやら全然わかっていなかったらしい〜私。

ちょっと真剣に取り組んでみようと思って、最近実践しているのが、
私が誰かに対して
「◯◯した方がいいと思いますよ」
とアドバイスしたことを我が身に振り返って考えてみる、という方法です。

最近の私に起きた「鏡な出来事」をいくつかカミングアウトしてみますね。


体のメンテナンス

例えば、ボイトレのレッスンにくる生徒さんに頻繁に言うのが、
「声を出すための楽器である肉体のメンテナンスが一番大事です。
よい声を出すために、自分に必要なストレッチをまめに続けてください」
というもの。

もちろん、私自身毎日ストレッチしています。
ですが、肩こりや首のズレが100%なくなるわけでもないので、
やっぱりまだまだ足りない部分があるわけです。
もっともっと効率のいい体のメンテについて研究しなくちゃ…と反省。


テリトリーを広げる

また、ある生徒さんに
「もっと人生を楽しむためにも、視野を広げるためにも、行動範囲を広げたらどうですか?」
とアドバイスした時のこと。

この方は40代の独身男性、とても体が固くて姿勢が悪く、ストレッチだけでは効果が出なかったので、
「温泉もいいですよ、隣町にある温泉はすごく泉質もいいのでオススメですよ」
とお伝えしたら、
「自分はチャリンコで職場と自宅を行き来するだけだから遠いなぁ」
とおっしゃる。
「電車もバスも使えるじゃないですか」
とお伝えしても、
「電車なんか何十年も乗ってないよ」
と言うのです。

あまりの行動半径の狭さにちょっと衝撃を受けてしまい、思わず
「小学生並みのテリトリーですね」
と言っちゃった!
失礼過ぎますよね……

その流れを受けての「行動範囲を広げたらどうですか?」というアドバイスだったのですが、
彼が私の鏡とはとても思えません。

私は職場が広範囲にあるため、週に400kmほど車で移動しています。
休みになれば、ロングドライブに出かけることも珍しくありません。
国内47都道府県すべて訪れたことがあります。

こんな私が、彼を鏡として学ぶべきポイントはいったいどこにあるというの〜?
課題が難し過ぎます…

一生懸命考えた末に、もしかしてこういうこと?と思ったのが、
「自分の知っていることしかしていないのではないか」ということ。

つまり、彼も私も、自分の興味があることだけをしているわけです。
パッと見、私の方が行動範囲が大きいように見えますが、
自分の興味のないところはスルーしています。
「もっと間口を広げなさい」ということなのかもしれませんね。


その山に本当に登りたいのか

さて、もうひとり、
「歌手になりたい」という女子高生のお話。
夢を持つのはいいのですが、全然練習してこない。
つまりちっとも上達しない。
あまりに練習しないので、思わずこんなアドバイスをしてしまいました。

「目標が山の頂上にあるとして、そこに向かうためには自分の足で山を登らないとたどり着けないよね?
本当にそこに行きたいなら、誰に止められたとしても行こうとするはず。
なのに、なぜ家で練習しようと思わないのかな。本当にその山に登りたいのかな?」

正直、彼女が目指すべき山は「歌手になる山」ではないように思えたので、
確認のために聞いてみたわけです。

すると「やっぱりこの山に登りたい」とのお返事。
その思いが強いのならいくらでも協力しましょう。
ただ、今の実力を考えると、他の人の10倍も努力が必要だと思えたので、それを伝えて発破をかけました。

では、この場合、私の鏡として彼女が映し出してくれているのはどんなことなんでしょうか。
今回はふたつ思い当たりました。

まずは、私が目標としていることのために、努力がまったく足りていないということ。
もちろん自分では努力しているつもりですが、結果が出ていないということは、やっぱり足りていないわけです。

そしてもうひとつ、
私が登るべき山、目指すべき方向そのものが間違っているかもしれない、ということ。
これはちょっと自分でもショックでした。

私の目から見て、高校生の彼女が目指している頂上にたどり着ける確率は、1%にも満たないように見えているわけです。
可能性がゼロなわけではないけれど、本当にそこにたどり着きたいようにも見えなかったし、
もっと彼女にぴったりの別な山があるんじゃないか、と私には見えていたわけです。

これは………
私自身、人生の目標を見直しなさいと言うメッセージなのかもしれません。


「鏡」を使うメリット

他人が映し出してくれる鏡というのは、
自分を客観的に、しかもまるで拡大鏡のように、
自分が見たくない部分を映し出してくれるものなのだそうです。

今回は、私が口に出して相手にアドバイスした事例をあげましたが、
言葉にして伝えることでなくてもいいわけです。
誰かに対して「あの人は◯◯だなぁ」と思うことがあったら、
それは自分のことを言っているんだな、と変換すればいいんです。

いやいや、私はあんなにひどくないし、と思いますよね。
でも「拡大鏡」だと思ってみると、確かに思い当たることがあるんですよね〜

歳を重ねて、しわもしみも白髪も増えてきた私、
マジで鏡を見たくない年齢になってきました。
でも、どんなに見ないふりをしても、他人様からは見られているわけです。
それならちゃんと自分に向き合って、しっかり鏡を見た方がよさそうです。

ああ、私の成長のために、こういう一面を強調して見せてくれているんだな、と思えるようになると、
誰かに腹をたてるということが減ってきます。
これはとても大きなメリットだなと思います。
ぜひ皆さんも試してみてくださいね。


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