移住しました その2「原発が壊れて、そして友達がいなくなった」


大きな地震をなんとかやり過ごし、余震に怯えながらろうそくの灯りの中、
誰かが持ってきた携帯のワンセグで、はじめて津波のことを知りました。
危険を知らせる情報は、停電してしまえば、必要な人には届かないのです。
遠く離れた場所からテレビを見ている人だけが、悲惨な状況をリアルタイムで知り得ました。
それは原発事故についても同じ事です。

被災地に居た人たちは、水や食料、電池や燃料を得るために、
あれから数週間は、何時間も外に並びましたが、
今思えば、クリキンディは、あの時確かに空気に違和感を感じていました。
それでも目に見えず、臭いもない放射能の存在を意識するのは難しいことです。
スーパーに並ぶ長蛇の列の側では、帽子もマスクもなしに、子供たちが走り回っているのを
やり切れない思いで見ているしかありませんでした。

それから、少しずつインフラが復旧し、
あらためて原発のことや放射能について、情報を収集しはじめたのですが、
少しずつ生活がサバイバルモードから通常モードに移行するにつれ、
とても不思議なことに、まわりの人たちはどんどん放射能に無関心になっていきました。
テレビでは「ただちに影響はありません」と報道され、暮れには収束宣言まで出されました。

おかしい。
収束できるわけがない。
ちょっと調べたらわかることなのに、なぜそんな報道をするんだろう?
そしてなぜそんな報道を鵜呑みにするんだろう?

インターネット時代になっていたおかげで、
自宅にいながら、いろんなことを調べることができました。
元素記号表すら頭に入っていないし、そもそも原子力ってなんだろう?
ウランって?プルトニウムって?
ラジウム温泉の放射能と、原発から出る放射能はどう違うの?
まったく文系のクリキンディにとってはちんぷんかんぷんでした。

早くから六ヶ所の問題について運動されていた、
田中優さんのブログは、とても参考になりましたし、
森のトトロ氏は原子や電子のしくみから説明してくれました。

正直、苦痛でした。

そもそも興味のない分野の話であり、
調べれば調べるほど、人体に危険なものであり、危険に対する対策もおざなりであり、
そこに巨大な利権が絡んでいるらしいということなど、不快な情報がどんどん出てきました。

あの時、大きなダメージを負った被災者にとって、心から欲していたのは、やすらぎであり癒しです。
まだそこに大きな危険が残っているなんて考えたくもない、
お願いだから心が軽くなるような話だけを聞かせてちょうだい!
そういう心境だったのだと思います。

「ニコニコしていれば放射能の影響なんか受けませんよ」
「そもそも自然界に放射能はありますし、ラジウム温泉ではガンが治ると言われていますよ」
「ただちに影響はありませんよ」
そんな言葉にすがりたかった気持ちは痛いほどよくわかります。

ですが、クリキンディはすでに知ってしまいました。
そんな甘い言葉に惑わされている場合じゃない、
今すぐに脱原発に舵を切らないと、地球の存続にも影響するかもしれない、
辛いけれど、自分が知っている情報をとにかくみんなに伝えることで、危険性を知ってもらわなくては。

そして、ことあるごとに放射能の危険性を語り出すクリキンディのまわりから、
どんどん人がいなくなっていきました。
mixiやFacebookのアクセス数は激減し、情報を拡散してくれる友人はほとんどいなくなりました。
twitterで脱原発発言をしている人のアカウント凍結の噂も耳にするようになりました。

世間では、脱原発派の人がデモを行い、
無関心派(派と呼んでいいのかどうかわかりませんが…)から疎ましく思われていたでしょうし、
ネット上でも、大きく意見が分かれて炎上しているところもあったようです。

友達のいなくなったクリキンディ、あることに気付きました。
これは、もしかしたら派閥争いをさせることで、国力を奪う作戦なのかも?
世界を見渡してみれば、様々な理由から、同じ民族が二手に分かれて争った例がいくつもあります。
内戦の理由をよくよく聞いてみれば、ほんとうに些細なことがきっかけであることも多いのです。

このような派閥争いは、もちろん自然的に発生することも多いですが、
歴史的には、第三者が関わっていることも少なからずあります。
例えば、他の国を支配しようと思うが、その国力に勢いがあり勝てそうにないので、
スパイを送り込んで内戦(もしくは他の国との戦争)を起こさせ、
守備の緩んだ隙に攻撃を仕掛けるという「漁夫の利」作戦です。

まさか、と思いますよね。
クリキンディもまさかそんなことがあるとは思いたくないです。
でも、これは歴史上繰り返されてきた事実でもあります。

今回は不幸中の幸いと言うべきか、
「脱原発派」vs「原発推進派」の対立ではなく「無関心派」が大多数だったため、
血なまぐさい状況にならずに済んだのかもしれない、と思うことにしましょう。

大手メディアでは、
「福島は収束」「原発は日本のベース電源」「トルコ、ベトナムに原発を輸出」
などの報道をしながら、小さく汚染水についての報道もしています。
見出しは小さい方が大切な情報がある、と思った方が良さそうです。

そうして多くの国民が原発についての情報から遠ざけられているうちに、
クリキンディの体調は少しずつ悪くなっていきました。
それでもまだのんきに、
「そうか、2012年のアセンションのためのイベントなのかなぁ」なんて思っていたんです。

(その3につづく)

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ブログ版をかなり加筆、修正しています。


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