移住しました その14「お金がない、仕事もない、それでも移住したい」


現在の仕事が9月いっぱいで終了し、次の仕事が12月からはじまる。
つまりまるまる2ヶ月無収入ということになります。
うーん、これは不安だ。その間に何か短期でできるアルバイトでも……
と普通は考えますよね。

ちょっと補足しておきましょう。
クリキンディの仕事はいわゆる会社員ではありませんので、
「転勤」という言葉を使いましたが、実際には転勤ではありません。
同じ職種ではありますが、現在の職場から異動先に紹介してもらい、
新しく契約する形になるので、仕事の保証もありませんし、
今までと同等の収入があるとは限りません。
打ち合わせの段階では、おそらく今までの1/3の収入だろうと予測されました。

だいたいこういう話をすると、移住を考えようかなと迷っている人はどん引きします。
放射能は確かにコワいけれど、移住した先で収入がなくなるのはもっとコワい。
ただでさえ慣れ親しんだ環境から離れ、親類や友人と離ればなれになり、
手探りで一から生活を構築していかなくてはならない上に、
収入がないなんて考えられませんよね。
だからこそ、お父さんが残って収入を確保し、
母子のみが疎開するというスタイルが生まれたわけです。

家族全員が移住するためには、住むところだけでなく仕事を確保しなくてはならない。
これはとても大きなブロックです。
それを乗り越えた上で、現地の習慣に慣れる努力をして、新しい人間関係を作って……
それは二の足も三の足も踏みますよね。

しかし、クリキンディの知る限り、震災後に移住した人たちは、
そんな事情を踏まえた上で、やっぱり絶対に移住したいという、
強い意志を持っている人が多いように感じます。
さらに言えば、いろいろなことをいろんな角度から調べています。
みんな悩んで悩んで考えて考えて、この道を選んでいるんですね。

だから、今悩んでいる人がいたら、とことん悩みつくしてください。

クリキンディはどちらかと言えば、石橋を叩いて渡るタイプではなく、
石橋を叩いて叩いて壊してしまうタイプです。(笑)
「ほらやっぱり壊れたでしょ、だから渡らなくてよかったのよ」って。

しかしここまで悩み尽くしてきたクリキンディ、もう悩んでも仕方ありません。
いろんなことが無駄なく、必然の出来事として起こっていて、
その流れを見極めて乗ることで、必ずゴールに向かって導かれる、
ということはかなり信頼できるようになっていましたので、
せっかく2ヶ月の長い休暇をもらったんだから、有効に使おうと決めました。
かといってお金もありません。
ちょっと歩けばゴールデンスライムに出会うという事もありません…(笑)

そこでクリキンディの唯一の財産である車を売ることを最初に考えました。
しかし、放射性物質をたっぷり吸着している可能性のある車を、
九州に持ち込むことはどうなんだろう?という思いもありましたので、
とりあえず、普段からお世話になっている車のディーラーに、
買取価格を聞いたついでに、
「車の放射能値測ったことありますか?」と聞いたら
「測ったことはありませんが、車がちゃんとしているかどうかプロは見ればわかりますから」
ってまくしたてられました。
おそらく、このディーラーさんは、
「原発収束してるんでしょ、放射能の影響なんかあるわけないだろ」
と言いながら、心の片隅で「もしかしたら…」という不安を抱えているのかもしれない、
そんな風に感じたので何も言わずに帰ってきました。

だいたいの買い取り価格はわかったので、いよいよお金がなくなったら売ろうと決めて、
荷造りなどしている時に、生命保険の証書が出てきました。
はっ!これも財産だよね?
契約ではあと4年払込みをすれば一生涯保証がついてくるプランでしたが、
今後4年間払い続ける余裕はありませんでしたし、
ここまでに様々な「社会のしくみ」に気付いた私にはもう必要ないと思えましたので、
こちらを先に解約して少しだけ現金を手に入れました。

移住を考えているけど金銭的なことでためらっている方へ、
クリキンディはこんなしょぼい財産しかありませんでしたが、
財産の断捨離をすることで、少し余裕が出るかもしれません。

しかし、何より一番大きな財産は「人間関係」だと思います。
移住先にひとりでも自分が信頼できる人がいる、それが一番のポイントかもしれません。

(その15につづく)

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ブログ版をかなり加筆、修正しています。


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