今日久しぶりに実家へ行ったら、
父親の車がなくなっていました。
もう平均寿命をとっくに超えているクリキンディの父親は、
まだ免許証を返していません。
80歳を超えて、目も耳も、身体の反応もすべてに鈍くなってしまっている父は、
これまでに何度も小さな事故を起こしており、
その都度「今度こそ運転やめようね」と、
家族に言われながらも、なかなかやめられずにいました。
しかし、一日に2度も車をぶつけた日を境に、
ようやく運転を諦めたのでした。
しかし、それ以来ふさぎこんでしまい、
一歩も外へ出ることもなくなり、
半分寝たきりの状態に突入してしまいました。
それでも、まだ免許証は返さず…。
それから、ようやく2ヶ月経って、車を廃車すると決心したようです。
クリキンディ、車のことには一言も触れなかったのですが、
父がポロッと一言放ったのが、冒頭の言葉でした。
「もう、なんにもできなくなっちゃったよ…」
確かに、運転はできない、もう雨漏りの修理もできない、重いものも持てない、パソコンの操作も携帯のメールも覚えられない、旅行することもできない…
できないことは増えたかもしれないけど、
何にもできないわけじゃないじゃん、
目も見えるし、耳も聞こえる、しゃべれるし、歩けるし、ご飯も食べられるし!
ヘレン・ケラーよりずっとすごいじゃん!
とわざと冗談ぽく言ってみました。
すると、反発するかと思った父が、素直に
「そうだな…なんにもできないわけじゃないな、ありがとう」って言ったんです。
普段の父を考えたら、奇跡とも思える前向き発言でした。
おやじが、なんかいい人になっちゃってる…。
……ということは……
もしかしたら、
次のステージが近いのかもしれない…。
家族はこうして、少しずつ覚悟をさせられていくんですね…。