フランスの南西部に「ルルドの泉」と呼ばれる有名な場所があります。
ベルナデッタという少女のもとに現れた、
聖母マリアのお告げにより、泉が発見され、聖堂が建てられ、
その泉の水を飲んだり水浴をすることで、病が癒されると信じられています。
Wikiの記述を読む限りでは、
どうもベルナデッタ本人よりも、まわりが勝手に作り上げた伝説のようにも感じますが…。
そのルルドの泉に巡礼する人々を描いた
映画「ルルドの泉で」が公開されていたので、
4/1の映画の日に見に行ってきました。
(※実は意外に知られていないのですが、
毎月1日は映画の日で、誰でも1000円で映画が見られます。
ただし都道府県により違うところもあるようです。)
とても静かで、
淡々と事実を告げるような映画でした。
ルルドの泉がどういう場所なのかがよくわかります。
下手な旅行番組を見るよりもずっとリアリティがあるかも〜。
派手さも笑いもないけれど、とても好感の持てる作品でした。
以下ネタバレもありますので、ご注意を!
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主人公は、多発性硬化症を患っている20代の女性。
会話はできるけれど、指一本動かすことができず、
奇跡を期待して、車椅子で、ルルドの泉への巡礼の旅に参加します。
同じ巡礼ツァーには、様々な病気や障がいを持った方が参加しており、
教会のボランティアが付きっきりで世話をしています。
彼らのツァーの様子を時間軸で見ることができるので、
聖堂のまわりがどんな風景なのか、
水浴がどう行われるのか、
いったい今まで奇跡はどれくらい起きているのか、
そんなことも映画の中でさりげなく触れられていて、
一緒に参加している気分になれます。
数日かけて、ルルドの水を飲みながら、
お祈りや水浴、告解などのメニューをこなしている内に、
主人公の女性に変化が表れ、
ついにはひとりで立って歩けるようになります。
しかし、奇跡だ〜!わーい!
という高いテンションにはならないんですね〜これが。
ツァーの参加者は「奇跡が自分に起こらなかった」ことについて、
とても複雑な気持ちを抱えることになるのです。
それぞれの立場で、いろいろな思いを抱いていることが、
短い台詞や表情などから、観客にも読み取れるように制作されていて、
しっくりと理解できます。
巡礼ツァーの最終日、「お別れ会」が
生演奏やダンスを交えて和やかに行われるのですが、
その一番最後のシーンが、
「さりげなく結末を観客に委ねる」演出になっていて、
そこも好感が持てました。
おそらく、観客の立場や考え方によって、
この映画の感想は変わると思いますが、
監督はニュートラルな視点を描きたかったんだろうなぁと感じました。
映画を見て、自分の立ち位置を感じるのにもいいかもしれませんね。
映画公式サイトはこちら。
http://lourdes-izumi.com/